2015年06月14日

第8講 ホログラフィック・ユニヴァース 病は気から

イメージだけで癌が完全に治癒した

 生存率が5%に満たない喉喉ガンにかかっていたフランク氏は、テキサス州の癌カウンセリング研究所のカール・サイモントン博士の治療を受けた(P97〜98)。フランク氏は放射線療法を受けながら、放射線が何百万という弾丸で癌細胞が弱体化していくというイメージを頭の中に描いた。その結果、たった二カ月でフランク氏の癌は跡形もなく消え去った(P98)

治療のほとんどはプラーシボ効果

 身体に心が大きな影響を及ぼす医学現象にプラーシボ効果がある(P109)。狭心症は手術によって治療されていたが、1950年代にある意志が何の治療もせずそのまま縫合するというインチキ手術を行った。ところが、治療を受けた患者は通常の手術を受けた患者とまったくかわらず症状が改善した。これは、手術もプラーシボ効果にすぎないことを示唆している(P110)

 プラーシボは、風邪、アレルギー、喘息、イボから、糖尿病、パーキンソン病、多発性硬化症、癌にまで及ぶ(P110)。ハーバード大学医学部のハーバート・ベンソンは、蛭に血を吸わせることからトカゲの血を飲むことまで以前に処方されていた処置の大半は役立たないものだったがプラーシボ効果によって効果をもたらしてきたと指摘する。さらに、現在なされている医療薬の75%もその有効性が完全に科学的に調査されていない。すなわち、医師はプラーシボ効果によって直していながらそれに気づいていないのだとベンソンは考えている(P116)

人格によって医学的症状が異なる多重人格障害

 身体に心が大きな影響を及ぼすもうひとつの事例は多重人格障害である。多重人格障害とは、独自の名前、年齢、記憶、能力を持つ二つ以上の人格が存在する症状である。存在する人格数は平均して8〜13だが、中には100以上もの人格を持つ患者もいる。多重人格障害者の97%は子ども時代に、肉体的性的虐待という深刻な心理的トラウマを受けている。このことから、多重人格とは、一人の人間ではとても耐え切れない魂を崩壊させるような苦しみに対して、複数の人格に分かれることで苦痛を分割して背負っていく対処方策だと多くの研究者は考えている(P87)

 普通の人間の脳波は感情が激しく変化した状態でも変わらない。ところが、驚くべきことに多重人格者は、それぞれが異なる脳波を持つ(P89)。また、多重人格では、字の癖や文化、才能やIQも変わる。それぞれの自覚が独自のサイクルを持つために月に2〜3回も生理が訪れる女性もいれば、声紋すらも変わる人もいる。さらに注目すべきことは、ある人格に伴うアレルギー、視力、糖尿病、火傷の跡等の医学的症状が別の人格になると忽然と消えてしまうことである。視力が低下すれば一生悪いままだし、糖尿病を患えば一生治らないと考えられている。けれども、多重人格現象は、身体に心がどれだけ深く影響できるかを示している。この現象と比較すれば、プラーシボ効果によってイボを消す能力などは取るに足らないものに思えてくる(P120〜124)

社会文化的な信念は身体や健康に影響を及ぼす

 社会文化的な信念が身体に影響を与えるケースもある。トロブリアンド諸島では婚前に自由にセックスを楽しむことが認められているが、その一方で、婚前妊娠は文化的に認められない。彼らはほとんど避妊具を用いないが、妊娠中絶がほとんど行われていない。これは、独身女性が文化的な信念によって妊娠を無意識に避けていることを示唆している(P125)

 社会文化が共有する恐怖が社会に及ぼすケースもある。以前に結核は原因不明の病であり多くの人々の命を奪ってきたが、1882年にロベルト・コッホによって結核が細菌によって引き起こされることが明らかになった。すると、効果的な治療薬が発見されるのはその50年以降であった関わらず、1880年代から人口1万人当たりの死亡率が600人から200人に激減した(P126)

無意識レベルの意識は遺伝子プログラムまで変える

 攻撃的な性格の人は心臓病で死ぬ確率がそうではない人の7倍も高く、幸せな結婚をしている女性は、離婚や別居している女性よりも免疫系が強いケースも価値観が身体に影響を及ぼす事例と言える(P127)

 催眠術は通常は無意識で行われるプロセスにまで影響を及ぼすことができる。深い催眠状態に入ると、多重人格者と同じく、体温、心拍数だけでなく、アレルギー反応や近眼までコントロールできる。さらに、遺伝病であるブロック病すらも治療できる。これは、心がDNAのプログラムにまで影響を及ぼせることを意味する(P131〜132)

ルルドの泉で癌が治癒した奇跡

 1962年、ヴィットリオ・ミチェーリの左臀部に癌の腫瘍は病院でも治療できないほど悪化し骨盤も崩壊していた。最後の手段としてヴィットリオはルルドの泉に入浴した。すると、その後、彼らは健康になっているのを感じた。一月後に検査をしたところ腫瘍が小さくなっていた。興味をひかれた医師は回復の経過を追ってみた。すると、今度は溶けた骨が再生を始め二カ月後には再び立って歩くことができるようになり、数年後には完全に健康となったのだった。ヴァチカンのローマ法王庁の医学委員会は、ミチェーリの事例を世界の医学史でも例を見ない奇跡だと判断した(P133)。なぜ、このようなことが可能なのであろうか。

人は脳が再編集した情報で世界を見ている

 カール・プリブラムは、サルの視神経を通じて受け取る情報が視覚中枢に直接伝えられるのではなく、脳内の他の部分を通っていることを発見した。人間の視覚でも同じことがあてはまる。脳内に入ってくる視覚情報は、側頭葉で編集され手を加えられてから視覚中枢に送られている。このことは、「見た」情報のうち、眼から入ってくる情報に基づくものが半分に満たず、それ以外は「こうあるはずだ」という世界に対する思いがつなぎあわされて作られていることを意味している。すなわち、眼が視覚器官であることは確かだが、実際に見ているのは「脳」なのである(P218 )。したがって、脳がシャットアウトしている情報は、存在していたとしても見えない。その一つが、エネルギー・フィールド、オーラーである(P221)

エネルギー・フィールドが見える人間がいる

 そして、プリグラムは、通常の視覚情報から脳がカットしている波動領域を垣間見るのが、神秘家の超越体験なのだと考える(P221)。例えば、スウェーデンの神秘家エマヌエル・スウェーデンボルグ(Emanuel Swedenborg, 1688〜1772年)は、人間のまわりに波動体が見えると記述している(P247)

08Barbara Brennan.jpg エリザベス・キュブラー=ロスが「西半球の最高のスピリチュアルなリーダーの一人だ」と評価するバーバラ・ブレナン(Barbara Ann Brennan, 1939年〜)博士もその一人である。ブレナン博士は、NASAゴーダル宇宙飛行センターの大気物理学者であったが、幼少期から木々のエネルギー・フィールドを感じる能力を持っていたことから、職を辞し、カウンセラーとなった。その後、能力を磨いたことから、人々のエネルギー・フィールドやチャクラを正確に目にできるようになった(P224〜225)

 もっとも、人間の肉体の周囲に後光のような光の輪が存在するとの考えは、インドの「プラーナ」や中国の「気」、ユダヤ教の神秘哲学カバラの「ネフィーシュ」等、古代の伝統に多く見出せ、97もの文化が言及している。そして、多くの文化が霊的に著しい進歩を遂げた人間のオーラは明るく、通常の人間でも目にできると指摘する。実際、テレーゼ・ノイマンやサイ・サイババは身体の周囲に目に見える光を放っていたとされる(P221)。スーフィの聖者ハズラット・イナヤット・カーン(Hazrat Inayat Khan,1882〜1927年)も周囲の人間がモノを読めるほど強烈な光を発したという(P222)

エネルギー・フィールドが発見された

 08valerie hunt.jpgUCLAのヴァレリー・ハント(Valerie Hunt, 1916〜2014年)教授は、この人間のエネルギー・フィールドの存在を実証する方法を開発してきた。心臓の電気活動は心電図で記録され、脳の電気活動は脳波電位記録計で測定できる。ハントは筋肉内の電気活動を計測する筋電位記録計がエネルギー・フィールドも捉えられることを発見した。ハントによれば、肉体から放射されている場は体内電気よりもはるかに微弱だが、チャクラと関連する部位で最も強い(P233〜234)。また、筋電位記録計が示す周波数パターンは100〜1600サイクルだが、これをオシロスコープで変換すると周波数パターンがオーラの色と合致することにも気づいた(P236)

エネルギー・フィールドではカオスが発見された

 ディヴィッド・ボームが無秩序は存在せず、高度な秩序があるだけだと考えていたことについてはふれたが、数多くのカオス現象が見かけほど無秩序ではなく隠されたパターンを持っていることがわかってきた。

 カオス現象に隠された規則性の一部を見つけ出す数学的な方法のひとつが、カオス現象のデータをコンピュータで図形化するものである。データに隠されたパターンがなければ直線の図形が表れる。けれども、隠されたパターンがあれば、毛糸を釘のまわりグルグルと巻きつけたような螺旋状のデザインとなる。コンピュータ上のある領域に何度も引きつけられる(アトラクタ)ことから、この図形を「ストレンジ・アトラクタ」や「カオス・パターン」と呼ぶ(P238)

 ハント教授が心電図や脳電図と筋電図のデータをコンピュータに入力すると直線となった。エネルギー・フィールドの低い周波数を入れてもやはり直線であった。けれども、高い周波数を分析してみるとカオス・パターンが表れた。これは、主な生物電気系統で真のカオス・パターンが発見された最初の事例であった。最近では数分ものデータを得れば脳電図でもカオス・パターンが発見されているが、エネルギー・フィールドでは3〜4秒のデータからカオス・パターンが得られる。これは、脳の電気活動よりもエネルギー・フィールドの方がはるかに複雑でダイナミックな情報にあふれていることを意味している(P239)

脳内の意志よりもエネルギー・フィールドが先に意志決定をしている

 サンフランシスコのマウント・ザイオン病院の神経心理学者、ベンジャミン・リベットとバートラム・ファインスティンは、皮膚への触覚刺激が電気信号として脳に到達するまでの時間を測定してみた。刺激を受けた0.0001秒後に脳はそれを認識し、患者は0.1秒後にボタンを押した。ところが、驚くべきことに患者は0.5秒近くも刺激を受けたこともボタンを押したことも意識上で認識していなかった。これは、意識的な決断がなされる前に無意識の心が決定を下していたことを意味する。その後の研究で、指を動かすといったようにある筋肉を動かすと「決断」する1.5秒前にすでに脳がその動きをするのに必要な信号を出していることがわかってきた。もし、決定を下しているのが「意志」ではないとすると、何が決定を下しているのであろうか(P259)

 ロスアンジェルスで活動する超能力者キャロル・ドライアーにもエネルギー・フィールドが目に見えるが、ドライアーによれば、人は反応を自覚するよりも先にエネルギー・フィールドの方が先に反応しているという(P260)。そして、ハント教授も、脳よりもエネルギー・フィールドの方が刺激に対して早く反応することを発見した。大きな音を立てたり、閃光を当ててみると、脳波が反応よりも前にエネルギー・フィールドを流れる微弱電流の方が早く反応していたのである(P259)

病気はまずエネルギー・フィールドに現れる

 さて、こうした精妙なエネルギー・フィールドには中心点があり、主要な神経や内分泌線ともつながり、正面から見ると回転する渦巻きに見えるという。このため、インドのヨガの文献では、これを車輪を表すサンスクリット語から「チャクラ」と称している。そして、エネルギー・フィールドの光の強さや色、曇り具合は、その人の精神状態や健康状態によって変化する(P223)

 病気は、実際に身体に生じる数カ月、数週間も前からエネルギー・フィールドに姿を現す。このことから、病気がエネルギー・フィールドから発生すると考える超能力者も多い(P253)

 すなわち、現在の医学では、脳内のイメージがどのようにして病気を作り出せるのかが説明ができないが、思考の中で重要な位置を占める想念は、エネルギー・フィールドにイメージとして現れる。そして、無意識であっても病気を繰り返しイメージして、エネルギー・フィールドにおける存在を繰り返し強調することによって、病気が生じるようにプログラムできるかもしれない(P253)

エネルギー・フィールドにはレベルがある

 ハント教授は、才能や能力がオーラーの周波数と関係することも見出す。ある人が意識する対象が主に物質界であればそのオーラーの周波数は、身体の生物的周波数250サイクルに近いが、超能力や治癒能力を持つ人のオーラーは400〜800サイクルの周波数を持ち、トランス状態に入って自分以外の存在からの情報をチャネリングしている人たちは800〜900サイクルの周波数を持っていた(P236)

 さらに、それ以上の900サイクル以上の周波数を持つ人をハント教授は「神秘的人格」と呼ぶ。超能力者やトランス状態に入った霊媒がただ情報を伝えるだけであるのに対して、神秘家はその情報を用いて何をすべきかの智慧を備えているという。神秘主義の伝統では霊的レベルが高い人間ほと高い波動を持つとしてきたが、ハントは通常2万サイクルまでしか検知できない筋電位記録計を改造して20万サイクルもの周波数を持つ人間と出会っている(P237)

 エネルギー・フィールドには電気的な性質があるが、ハント教授は未発見のエネルギーからできていると考えている(P239)。ディビッド・ボームは、原子を超えた量子下のレベルでは、まだ科学では知られていない多くの微細なエネルギー場が存在していると考えたが、古代ヒンドゥー教の文献も物質は「アヌ」という原子から形成され、人間の精妙なエネルギー・フィールドは、より高い振動数を持ち、原子を超えた「パラアヌ」な存在であると述べている(P240)

 エネルギー・フィールドは様々な伝統によって異なる名称がつけられているが、肉体に最も近いエーテル体は肉体を形作る働きを持ち、その外側のアストラル体(感情体)、メンタル体(知性体)、コーザル体(因果体)は、魂や高次元の霊的機能に関わるとされている(P222)

 エネルギー・フィールドが身体の構造を型どっていく青写真であり、身体も密度レベルが異なるある種のエネルギー・フィールドで、オーラの干渉パターンから生じるある種のホログラムであると考えれば、身体に対して心が強力な治癒力やコントロール力を持つことが説明ができる(P253)

 物理学者ウィリアム・ティラーは、まずエーテル体レベルでのパターンの変化が肉体レベルにまで降りてきて病気として眼に見えるようになる。病気が再発することが多いのは、現在の医学が肉体レベルでしか治療しないからだと主張する(P255)

 デトロイト在住の医師、リチャード・ガーバー(Richard Gerber)も、エネルギー・フィールドが身体を型どると考える。ガーバーによれば、身体はエーテル体の下位に属し、エーテル体はアストラル体の下位に属し、アストラル体は知性体の下位に属する。そして、それぞれの「体」は下位の体の型版として機能する。すなわち、知性体がアストラル体にエネルギーを供給し、アストラル体がエーテル体、肉体にエネルギーを伝えていく。そこで、知性体レベルでのイメージで癒すほどアストラル体やエーテル体レベルで癒すよりも強力で持続的な効果も高い。この脳内のイメージとエネルギー・フィールドと身体とのダイナミックなつながりが、イメージや視覚化で治療が可能なことを説明するであろう(P254)

脳も肉体もエネルギー・フィールドが濃縮された高密度の部分である

 ふつう心は脳の産物であると考えられている。けれども、身体も脳も段階的に精妙さを増していくエネルギー・フィールドの連続体の高密度な部分にすぎないとも考えられる(P258)。実際、ハント教授は、脳の役割は過大評価されすぎていると語る。ハント教授の見解によれば、脳は性能のよいコンピュータにすぎず、創造性、想像力、スピリチュアルなマインドの要素は脳内には見当たらない。心は脳にあるのではなくエネルギー・フィールドにあったのである(P260)

【引用文献】
マイケル・タルボット『ホログラフィック・ユニヴァース』(1994)春秋社 第4章 すばらしきかな我が身体、第6章 ホログラフィックにものをみる
ブレナン博士の画像はこのサイトから
ハント教授の画像はこのサイトから
posted by la semilla de la fortuna at 23:20| Comment(0) | 宇宙と生命 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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