過去を読み取れる人間が存在する

20世紀最大の透視能力者と言われるロシア生まれのポーランド人、ステファン・オソヴィエツキーは、モノを手に取って意識を集中すると、過去の三次元映像を見ることができた。例えば、紀元前1万5000〜1万年前にフランスで栄えた石器時代のマグダレニアン人(クロマニョン人)の石器をとると、女性がとても手が込んだ髪型をしていると述べた。誰もがばかばかしいと考えた。けれども、その後に飾り付けられたクロマニョンの女性の彫像が発見されたことで、オソヴィエツキーが正しかったことが立証されたのであった(P267)。
カナダのジョージ・マクマレンというトラック運転手も遺跡を訪れるだけで過去を見ることができた。例えば、何もない大地のうえでイロコイ族の共同住居があった場所だと述べたが、その半年後に指摘どおり古代の建築物が発見されたのだった(P268)。
このように過去を読み取る能力を持つ人間が存在することは、過去が失われてしまうのではなく、意識をシフトさせれば人間の知覚が届く範囲に存在していることを示唆する(P270)。過去視ができる人の多くは、人間のエネルギー・フィールドも見ることができる。オソヴィエツキーは、子どもの頃から人の周囲に光の輪が見えたし、マクマレンも人のエネルギー・フィールドを見て健康状態を診断できた。このことは、過去視の能力が精妙な振動を見る能力とつながっていることを示唆する(P272)。
通常の世界観ではそうした状態が存在することは不可能だ。けれども、ホログラフィックな宇宙モデルでは可能である。ディヴィッド・ボームは、過去はある種の「内在秩序」として現在も行き続けていると考える(P270)。あるいは、過去は、カール・プリグラムの言う波動領域にコード化されている。たいがいの人間はその情報をカットしてしまう。けれども、ごく一部の人間は波長をあわせることでホログラム状に過去の映像を変換できるのである(P272)。
チャクラの文字は過去の信者の信念の産物である

幽霊や妖精は過去の残像現象である
過去がホログラフィックな波動として記録され、人間の心がときとしてこれをキャッチできると考えると、幽霊の出没現象の一部も説明できる。米国やイギリスで行なわれたいくつかの研究からは、国民の10〜17%が幽霊をみたことがあるとの結果が得られている。このことは、幽霊現象が多くの人が考えている以上に頻繁に起きていることを示唆する。さらに、幽霊はすべて人間の形をしているわけではなく、物体の姿を見たという記録も数多い。このことは、幽霊が肉体を離れた魂ではないことを示している。となれば、幽霊の出現はほとんどが、過去の場面や人の姿がホログラフィックに再現されたためだと考えたほうがよい(P273)。

また、マン島の老人は、島に教育がやってくるまでは妖精を見る人がもっと多かったと語っている。この言葉は、教育によるモノの見方の変化で、過去視能力が退化したことで妖精との出会いが少なくなったことを示唆する(P276)。
集合無意識の発見

トランスパーソナル心理学の登場
メリーランド精神医療研究センターの研究部長、スタニスラフ・グロフ(Stanislav Glovf,1931年〜)は、30年以上も「変性意識状態」を研究してきた(P75)。グロフは1950年代に母国チェコスロバキアのプラハで、幻覚剤LSDの臨床利用の可能性を探ることから変性意識状態に関心を抱くようになった。LSD体験を繰り返すと精神療法のプロセスが早まり、精神分裂病のような重度の障害まで治癒されることがあったからである(P76)。

祖先や親族の意識に入り込める患者もいれば、民族や集団の記憶につながる体験をする患者もいた。また、赤血球や原子、惑星全体の意識を体験したり、時空を超越し、人間以外の知的存在や高次元の意識からの霊的アドバイス、超人間的存在と遭遇するケースもあった(P78〜79)。
3000回以上のLSDセッションや同僚の研究者が行った2000回以上のセッションを分析した結果、グロフは、「トランスパーソナル」という言葉を創り出し、エイブラハム・マズローらと1960年代後半に「トランスパーソナル心理学」という分野を創設する(P80)。
ホログラフィで露光を繰り返すと、大家族全員の写真を一枚のフィルムに収めることができる。家族全員の姿を反映している人物の画像が創り出せる。この合成写真は、ある種のトランスパーソナル体験のモデルであり、アーキタイプに見られる男性、女性、父、母、恋人、トリックスター、道化等のイメージあたるとグロフは述べている(P81〜82)。
ファティマの聖母もUFOも集合無意識の産物である
1879年には、アイルランドのノックで、村の教会に隣接する草原で、マリア、ヨセフ、聖ヨハネの光を放ちながら動かない像を14人の人間が目にした。
1968年には、エジプトのカイロ郊外の貧民街の教会で、二人のイスラム教徒が光輝くマリアの像を目にした。それから、3年。マリア、ヨセフ、幼児のキリストの立体像が毎週、3年にわたって出現し続けた(P380)。

UFOも客観的な体験であるよりも主観的なホログラフィックな投影の可能性が高い。1959年にユングは早くもUFO現象とは人類の集合無意識の産物であるとの説を打ち出している(P385)。
『未知との遭遇』のラコームのモデルとなった天体物理学者ジャック・ヴァレーは、UFOは、新たな現象ではなく、ヨーロッパの妖精や中世の天使、米国の先住民の伝説に登場する超自然的な存在と、様々な民話に登場する言い伝えと似ていると指摘する(P385)。
集合無意識とサイコメトリーを説明するホログラフィック・モデル
現在の世界観ではユングの集合無意識論も説明できない。けれども、ホログラフィック・モデルであれば説明がつく(P66〜67)。ホログラフィックなユニヴァース・モデルでは、意識はすべてに浸透していることになる。このことによって、テレパシーや遠隔視も説明できると、ディヴィッド・ボームは考える。例えば、物質に対する精神からの共鳴が念力であれば、テレパシーはある精神から別の精神に対する共鳴であり、遠隔視は物質から精神になされた共鳴である(P190)。そして、モノにふれただけでその過去の履歴を言い当ててしまうサイコメトリー(霊視鑑定)も可能となる(P191)。デヴィッド・ボームの言葉では深層では人類の意識はひとつなのである(P66〜67)。
けれども、だとすれば、なぜ、誰もが人類全体の無意識レベルの意識に自由にアクセスできないのであろうか。レンスレア政治経済研究所の心理学者、ロバート・アンダーソン(Robert Anderson)は、内在秩序にある情報のうち、人間がアクセスできるのは自分の記憶に関連するものだけだからだと考える(P67)。このことの意味については次回でさらに掘り下げよう。
【引用文献】
マイケル・タルボット『ホログラフィック・ユニヴァース』(1994)春秋社 第3章 ホログラフィック・モデルと心理学、第5章 奇跡がいっぱい、第7章 時を超えて
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