2015年09月03日

第44講 人生の目的を探る(9) ダスカロスの輪廻転生論

 ダスカロスの輪廻転生観について「TeruSun」氏がブログ、「スピリチュアルラボ: 今を精一杯に生きること」で優れた記事を書いているので、これを再編集してみた。

ダスカロスとは何者か

38daskalos.jpg「ダスカロス」とは、ギリシャ語で「先生」という意味の一般名詞で(10,13)、本名はスティリアノス・アテシュリス(Stylianos Atteshlis, 1912〜1995年)である(10,22)。ダスカロスは、驚異的なヒーリングを無償で行い、他者への愛にその生涯を捧げた超一級の霊覚者・ヒーラーであった(10,13)

 新聞記者の目の前で半身不随の子どもを一瞬で歩けるようにしたヒーリングによってダスカロスは一般に知られるようになった(28)。そして、こうしたヒーリング実例は、実際にキプロス地元紙でも掲載された(22)。このため、母国では大統領(キプロス正教大主教)、ギリシャ王室、欧州の要人から庶民までも電話を入れたり会いに行ったりと、超有名人となった(28)

 だが、霊性の高い人ほど、自らを宣伝しない(22)。有名になることのマイナス面を知り抜いていたことから、名声を嫌い、脚光を浴びる危険性を避け、その活動自体を広く知られることがないようにいつも心配りをしていた(10,13)

 米国メイン大学社会学のキリアコス・マルキデス教授が著作で紹介するまでは世界的に有名な人物ではなかったし(3)、マルキデス教授の取材願いに対してもこう語ったという。

「スピリチュアルな道をゆく者にとって名声とは罠なんだ。私の名前は知られない方がいいんだ」(22)

 ダスカロスは、イギリス皇室からの勲章も拒否したが、それでも、1995年に死去するまで彼の居を訪れる者は後を絶たなかったという(22)。とはいえ、日本では、クリシュナムルティ、ラマナ・マハルシ等に比べ(28)、まださほど知られていない(10,13,22,28)

前世記憶と驚異的な語学力

 ダスカロスは、「神童」で7歳の頃から、小学校の校長に頼まれて霊的な講義をしていた(28)。ほとんどすべての前世を覚えており(2,9)、イエス・キリストの時代やエジプト時代のことを昨日のことのように普通に話していた(9)

 過去世の記憶から、現代ギリシャ語、古代ギリシャ語、トルコ語、ラテン語、ロシア語、英語、フランス語、イタリア語、サンスクリット語、アラム語、そして、古代エジプトの象形文字など数多くの言語に通じ(2,9,10,13)、一般に知られてはならない教えはサンスクリットで書き残していた(13)。そして、過去世からの記憶から得た膨大な知識を使って、イギリスに留学した際には、哲学博士、神学博士、心理学修士の学位も取得している(2,9,13)

安っぽいスピリチュアリズムを超える一級の教え

 ダスカロスは、体外離脱、身近な予知、遠隔視、霊的ヒーリング、目に見えない存在との対話等、ほとんど何でもできた(28)。このため「悪魔のような力を持つ男」と呼び忌み嫌った者もいた(2,22)

 けれども、上述した経歴を見ればわかるように、その霊的能力以上に、その知識も並大抵ではなかった。イスラエル哲学、キリスト教神学、ユダヤ教神学、キリスト教神秘思想、ユダヤ教神秘思想、グノーシス、キリスト教史、ユダヤ教史、ヘルメス・トリスメギストス(ヘルメス文書)、ナグ・ハマディ文書等の知識がなければ、その著作は訳せない。すなわち、ダスカロスの精神世界論、宇宙論は、そんじょそこらの安っぽいニューエイジ系やスピ系では手に負えない宗教学者レベルであった(10)

とはいえ、ダスカロスは、「私(神、大日如来、アッラー、天照大神、ヤハウェ)とは何か」「この世とは何か」「あの世とは何か」「あなたとはなにか」、「私たちがしなければならないことは何か」をわかりやすく説く(8)。その英知をもって霊的な真理を教え続けた真の霊的教師だった(2,22)

驚異的なヒーリング

 ダスカロスの教えや霊的理論「エソテリック・ティーチング」は、他の霊的教師たちとは「一線を画している」というほかない(22)。もちろん、こうした理論を知識としてだけ語るだけの神秘家は掃いて捨てるほどいる(13)。けれども、ダスカロスが、それ以外の神秘家と異なるのは、実際にエーテル体(四次元体)の手を瞑想の力で作り出し、医者に見離された重症の脊椎損傷患者の背中の中にエーテル体の手を差し込み、完璧なまでに患者の治癒を行なった等の多くの実績を持っていることにある(13,22)。すなわち、ダスカロスは霊能者であると同時に、ヒーラーとしても「ヒーラーのなかのヒーラー」といわれ世界一流であった(9)。報酬を一切受け取らず、ただ、ひたすらに人々を癒すためだけに無条件の愛を示し続けたヒーラーだった(2,22)。立つことすらできなかった小児マヒの子どもを歩かせたり、再起不能なまでに変形した背骨を再生する等、医学で治療できない難病の奇跡のようなヒーリングを行った(2)。著書『光の手』でニューエイジでは著名なバーバラ・アン・ブレナンにヒーリングを教えたのは(3)、イギリスの有名なスピリチュアル・ヒーラー、ハリー・エドワーズだが(1,3)、彼にスピリチュアル・ヒーリングを教えたのはダスカロスだった(1,3,6,22)。ダスカロスが亡くなるまで秘密とされていたが(3)、1954年4月1日に、ダスカロスのインナー・サークルのイニシエーション(通過儀礼)を受けるために訪れている(1)

 世界各地に霊的教師を自称する人物は数多く存在する。とはいえ、ダスカロス程の人は、ほとんどいない(22)。そして、ダスカロスが推薦される最たる理由は、その高い「霊性」である。この霊性の高さがあればこそ、エーテル体の手を瞑想の力で作りだすことができた。高い「人格」が伴わらなければ、ただの魔術師・呪術師になってしまう(25)

人間の身体は三次元(肉体)、四次元(感情)、五次元(知性)からなる

 ヨガや神智学の身体論に類似するが、ダスカロスは「人間は物質的な身体である肉体と、物質世界よりも遙かに『精妙』な物質から作られる4次元体・サイキック体(感情体)と、これよりもさらに『精妙』な物質で作られている5次元体・ノエティカル体(知性の体)からなると主張する(13)

「死と再生」のメカニズムは5ステップからなる

 物質界で経験する事柄やその人格を構成する内容は、「一時的パーソナリティ(Present-day Personality)」の部分に書き込まれている。しかし、物質界(三次元世界)での「肉体の死」とともに「永遠のパーソナリティ(Permanent Personality)」の部分にある「永遠の原子(Permanent Atom )」に書き込まれ、次の存在形態である四次元の身体(感情体)や五次元の身体(知性体)に引き継がれていく(14)

感情体では感情面での学びを行う

 このため肉体が死んだ後も「思い出す」ことが可能である。四次元世界では、物質世界で体験した内容、とりわけ、感情面で起きた内容を整理して、トラウマを解消することが学ばれる。

 物質界の人生で利己的に生きたり、悪行を行った人ほど、サイキック界に長く滞在することが求められる。そして、各人に必要な滞在期間を過ごすとサイキックの体は溶解する。これは「第二の死」と呼ばれ、サイキック体を構成していた物質は宇宙に還元される(15)

知性体では無知についての学びを行う

 サイキック界で体験したことも「永遠の原子」に記録されているために、「思い出す」ことが可能である。五次元のノエティカル界では(15)、ノエティカル体(知性体)は知性面での学びを行う。物質世界の「人生」で体験した事柄、決定的な無知に由来する人生で犯した過ちについて知性の面での反省や学びなされる(16)

ノエティック・ステートで天使のカウンセリングを受け次の人生を決める

 人間は、宇宙の叡智である「般若波羅蜜多」や神の「叡智(ヌース)」に容易にたどり着くことはできない。このため、ここでの学びは「必要な範囲」に留められる。そして、必要な学びが終わると、五次元のノエティカル体は溶解され、新たに「永遠の原子」に書き加えられた情報とともに、六次元以上の世界、ノエティック・ステート(Noetic State)へ引き上げられていく(16)

 このノエティック・ステートは二元の分離された世界ではなく、イデアの領域(永遠の存在=Beingの世界)である(17)。このノエティック・ステートの領域で、「原因結果の法則の主達(the Lords of Cause and Effect)」や「運命の主達(the Lords of Destiny)」と呼ばれる存在たちと話合い、永遠のパーソナリティは、次の人生のテーマやデザイン、大まかな「運命の流れ」を決める(19)

 こうしてイデアの永遠の世界から、再び二元の分離の世界、時間の世界へ参入する『魂の旅立ち』が起こる(19)

誕生に向けた肉体づくり

 ノエティック・ステートから肉体への「魂の降下」と「魂の帰昇(イデアの世界への帰昇)」が達成され、次の学びのための魂の受肉(incarnation:東洋では転生)の準備が始められる(17,19)。まず、分離の世界の一時的な存在(Existence)へと「下降する」とまず五次元の「ノエティカル体」が造られる。次に四次元のサイキック体が造られ、その後に物質界の三次元の肉体が造られて、私たちはこの世に誕生する(19)

カウンセリングの内容を心は忘れてしまう

 プラトンは著書『国家』の「エルの物語」で『忘却の河』を渡った途端に、イデアの世界で決められた事柄を忘れてしまうと述べている。分離の世界、時間の世界に入り込む時にカウンセリングの内容を忘れてしまうのである。けれども、それは潜在意識の層には記録されている。このため、ある種の衝動として人生に働きかけることになる(19)

輪廻転生は学びのために存在する

「原因があれば結果が生まれる」という「因果律」は東洋では「カルマの法則」と呼ばれ、罰のための法則のように理解されていることが多い。けれども、ダスカロスは「カルマは人の魂の学びのために存在するもので、人の成長を見守り助ける『神の愛の法則』である」 と述べている。すなわち、輪廻転生がある理由について、ダスカロスは「物質世界で生きることで最も多くの学びが得られるからだ」 と述べている(19)

最終的には永遠の存在に到達する

 要するに、私たちの存在は、「永遠の存在(Being)」の世界と、生命の始まりと終わりがある五次元体以下の「一時的な存在(Existing)=実存」の世界を行ったり来たりしている。そして、やがては輪廻の成就にいたり、最終的には個々の魂が神の叡智(ヌース)に到達して「神との一体化」が起きる。けれども、ダスカロスによれば、魂はそれで消えてしまうのではなく、「悟り」の境地に達した存在は、人々を手助けするため、我々の世界にやってくるという。これが「偉大なマスター」やヒンドゥー教で「アヴァターラ」と呼ばれる存在であろう(19)

【引用文献】
(1) 2007年7月15日「ストロヴォロスの賢者と呼ばれたヒーラー」スピリチュアルラボ
(2) 2007年8月18日「スピリチュアル・ライフを実践する方法(内省と瞑想法)」スピリチュアルラボ
(3) 2007年9月15日「奇蹟のヒーラー」スピリチュアルラボ
(9) 2008年7月16日「「前世」を覚えていた男」スピリチュアルラボ
(10) 2008年8月30日「20世紀最高のヒーラーの悲劇」スピリチュアルラボ
(13) 2008年10月31日「ダスカロスの人間論1」スピリチュアルラボ
(14) 2008年10月31日「ダスカロスの人間論2」スピリチュアルラボ
(15) 2008年11月2日「ダスカロスの人間論3」スピリチュアルラボ
(16) 2008年11月3日「ダスカロスの人間論4」スピリチュアルラボ
(17) 2008年11月4日「ダスカロスの人間論5」スピリチュアルラボ
(19)2008年11月5年「ダスカロスの人間論6」スピリチュアルラボ
(22) 2008年12月12 日「20世紀最高のヒーラーと呼ばれた人」スピリチュアルラボ
(28)2011年7月16日「 20世紀最後の〈霊的賢人〉」スピリチュアルラボ

ダスカロスの画像はこのサイトから

posted by la semilla de la fortuna at 22:53| Comment(0) | 魂の人生論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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